ばら展への出品をめざして

  アイキャッチ画像は2022春のばら展のスナップです。
女性会員の多くの方の興味関心は、自由花や盛り花部門に向いているのではないでしょうか。素敵な花器にいろいろな花材を添えてバラを魅せようとする技術は、無骨な筆者にはまねのできないことです。HT全盛の時代はもはや終わりつつあります。自由な品種で自由に飾って楽しめる部門を増やしていかなければならないと思います。
 思ってはいますが、筆者は残念ながらHT品種の話しかできませんので、どうかご了承のほどお願いします。
 親善ばら展に向けて準備しておくことや出品への手順を、地植えのHTを中心にまとめてみました。HT以外の品種についても、同様に考えていただけたらと思います。
 あくまでも筆者の自己流の準備ですから、誤っていることも多々あるのではないかと思っています。どうかお気づきの点につきまして、コメント欄に率直に指摘していただきますようお願いいたします。
(1)傘立て・枝直し
 10日から1週間前になりますと、出品可能なバラかどうか、つまり、花枝の長さ、葉の状態、ガクが割れて花色が見えて1週間の内に開花できるのか等について総合的に考え、これぞと思うバラを選抜し観察していきます。
 選抜したバラの本来の美しさにより近づけるために、➀傘立てと②枝直しをします。
➀ 傘立て(写真1)
 傘は、さびて使えないようなものも含めて普段からストックしています。60㎝クラスの、このために購入した立派な傘もあります。透明がほとんどです。色付きで遮光性のあるものもありますが、花色の発色を考えますと、透明が使いやすいです。
 支柱と傘をどうやって結合するか、これが問題です。私は、ビニタイでぐるぐる巻いて結わえています。
 傘でしっかり保護した花が早く終わり、傘からはみ出ていた花を出品することがよくあって、選抜する自身の眼力にいつも笑ってしまいます。
  写真1は参考用のモデル写真です。実際はガクが割れてから立てます。傘が曲がってしまいましたが、なるべく水平にします。
写真1 

② 枝直し(写真2)
 花枝はまっすぐ伸びていることが求められます。枝が固まらないうちに風にあおられたりするとつぼみが風に逆らう方向に曲がります。
 5ミリ角の角材を準備し、枝の添え木に使用します。
  ビニタイで下の方はしっかり強く締めますが、上の方、特に花首の下はゆるめにしておきます。枝の成長に合わせてビニタイの位置も移動します。不器用ですから、つぼみを折ってしまう事故もあります。そんな時はトホホホホー....
 しかも、傘立てと同様に、花が早く終わったり、その逆だったりすることもたびたびあり、笑っちゃいます。
写真2
(2)採花
➀ 採花時間 
 ばら展当日の早朝か、前日の午後に採花します。
天気(雨と風)によってはさらに早める場合もありますが、採花後、徐々に新鮮さを失っていきますからご注意ください。

② 採花時の開花レベルの見極め
 当日の気温や品種の特性にもよりますが、審査の時間に、外弁の5弁が開いていて、さらにその内側の3弁程度が開き始めている状態(写真4)が望ましいと思います。
 出品後にさらに開花が進むことを考えると、満開を迎えている花や花芯が開きすぎた花(写真5)は避けた方がよいでしょう。

③ 花枝の長さ
 HTの場合、フラスコ口から花首まで50㎝以下という規定ですから、フラスコの高さが約15㎝として、枝の長さは最長でも約65㎝となります。45㎝~50㎝の長さでも全く問題ありません。
ただし、本会では規定していませんが、5枚葉が3枚以上ついていることが理想です。
写真3 開花が始まったばかりで まだ出品できません
写真4 花芯がしっかり見えています 審査の時間にこの状態を迎えたいとすれば もう少し前に採花すべきでしょう
写真5 満開を過ぎており すでに花芯がくずれています
(3)吸水(写真6)
 大きなバケツに水を入れて、花首まで水に浸けて吸水させます。最低1時間は吸水させましょう。審査時に花首がうなだれてしまっては大変です。
水に浸ける際に、開花が遅れている花は水切りして開花を促すのもよいでしょう。

 花に水をかけないように注意しながら葉を洗い、薬剤の汚れなどを洗い流します。吸水させるバケツと洗うバケツと2つあると便利です。

 自宅を出発する前に、水を少しだけ入れたバケツにバラを移し替えて会場に搬入します。
写真6
(4)ドレッシング
 日本語では整形加工・化粧といった意味でしょうか。花芯が中心からずれていたり、開花が遅れている場合はドレッシングにより花形を整えますが、丸弁を剣弁風にするような過度なドレッシングは失格の対象となることがありますので注意しましょう。
  具体的な方法については、人さまざまです。
  失敗を経験しながら、自分流のドレッシングをマスターしてください。
(5)花器への活け方の基本
 枝の身構え(傾斜・しなり具合)にもよりますが、花弁の開きの大きい側を正面に向けると安定感があります。

 フラスコ(写真は花瓶で代用しています)の底に枝を接地させ、フラスコの入り口に接する枝にペーパーを巻き付けて枝がぐらつかないように固定します(写真7)。どなたがフラスコを動かしても、花の向きや傾斜角度が崩れないようにするためです。
写真7
 花芯が審査員に見えるように、傾斜の度合いを調整します。
 下の3枚の写真(8~10)は同じバラを撮影していますが、これが審査員からの目線だとすると、バラの活け方としてどれが適当でしょうか。
  合格は写真9と10です。写真8がよくありません。ツンとまっすぐ上を向いていて、審査員の目線を無視しているからです。9と10が花芯を審査員にしっかり見せています。芯を見せることによってふくよかな花の特徴を伝えることができます。同じ花でも見せる角度によってこんなにも違いますね。モデルに使用した花は芯が中央になく、しかも右側の開きが早いので本来はボツになる花ですが、活ける角度(傾斜の度合い)はお分かりいただけましたでしょうか。少し前傾させるということです。(入口の狭い花瓶を使用したため花枝に傾斜をつけることができませんでしたが、カメラの位置を変えることによって審査員の目線を意識する写真を撮りました。最高気温33℃の日中の撮影にモデルはよく耐えてくれました。モデル花に感謝です)
写真8
写真9
写真10
(6)出品カードの記名
 出品カードに花名と出品者名を書いて、フラスコの前に置いて終了です。他の会員の花もご覧になりながら審査結果を待ちましょう。
 お疲れさまでした。

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ばら展への出品をめざして” に対して2件のコメントがあります。

  1. ak-hiroyuki より:

    投稿ありがとうございます
    「枝直し」はじめて知りました。
    会場で見るバラの枝はどれもまっすぐなので品種によるもので、うちには無いバラだと思っていましたが栽培技術だったのですね。
    早速、角材を買いに行ってきます!

    1. kitaterose より:

      コメントありがとうございます。
      特にHT品種に関しては、花をきれいに見せるための技術があります。
      今回の投稿からそれを感じ取っていただいて、大変うれしく思います。

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