1.うどんこ病
 うどんこ病は黒点病と違い、薬以外で予防する方法がないのが現状です。
胞子は風で運ばれてバラの新梢で発芽、繁殖します。相性が悪い品種は必ずといってよいくらい出ますが、葉面の保護層の厚さに起因するものと考えられています。
 消毒以外では、次のことに注意が必要です。
  ◉肥料過多、日照不足、風通しの悪さ、水の与えすぎによる株の軟弱化
  ◉水切れによる保護層の傷み
 いずれも葉面の保護層が薄くなった時に侵入されるものと考えられます。新梢に付くのも予防しづらい要因です。成長期には1日で数センチ伸びます。薬剤で覆っても膜が壊れてしまうからです。気温18〜25℃位の時が多発時期です。新梢は水をはじくので、展着剤や乳剤などでしっかりと薬剤を留めなければなりません。
発病したら水が苦手なので、灌水時にシャワーで発病部分をよく洗い流すようにしてカビの層を薄くしてから消毒剤をタップリと流すよように行ってください。
 代表的な治療薬は、抗生物質のポリオキシンAL水溶剤・成分2種類のパンチョTF、繁殖能力を失わせるトリフミン・サルバトーレ、安全性の高いカリグリーン、鉱物微分のモレスタンなどがあります。
 うどんこ病は、とにもかくにも初期段階で発見して治療することがとても大切です。
2.黒点病(黒星病)
 芽出しの時期の少し前、芽が「ぷくっ」と膨らんだ時に行う消毒が効果的です。エムダイファー・オーソサイドなどを散布するのもよいでしょう。この時期は予防薬を中心に散布します。月に4回散布するならば、3回は予防薬、治療薬は月に1〜2回くらいです。春の終わりや秋18〜25℃位が発病、進行する気温です。
品種による違いもあるが、この条件で葉が6時間程度濡れていると感染します。新しい葉は水をはじき停滞することが無いので、黒点病には感染しない。黒点病は葉が濡れていないと感染しないで、この時期にブラインドした枝や混んでいる枝を整理して、葉が乾きやすくなれば予防効果は高くなる。雨後に枝を揺すって水滴を落とすだけでも予防効果は確実に高まる。
後述するローテーション散布は崩さずに行い、雨後には可能な限り早めに治療薬を散布することが大切です。当然のことながら、発生が確認されたら治療薬を多く散布することになる。夏場は、25℃を超える日が多くなるので、一時的に黒点病の発生は止まります。しかし、この時期にしっかりローテーション散布しないと、秋口になってから痛い目にあうこととなります。黒点病の感染には、肥料の効き方も関係してくる。肥料が切れて葉色が薄くなって来ると、黒点病が侵入しやくすなります。下葉でも肥料が効いて葉に艶があれば病気の侵入を抑えられます。
予防薬では、ジマンダイセン、オーソサイド、フルピカ、サンヨール、ダコニールなどになる。治療薬では、サプロール、サルバトーレ、ラリー、トップジンMなどです。
発生を広げないための治療薬散布は大事だが、発生した葉の完治は不可能なのです。

終わりに
2020年から「ベニカXガード粒剤」を、3ヶ月ごとにばら撒き使用してきたのですが、ことのほか効果があるようです。実際には元肥施肥時に一緒に投入し、それ以外は地上部の根際にばら撒くだけです。鉢ばらも同様に植え付け時から使用しています。うどんこ病、アブラムシの発生予防と書かれているが、灰色かび病、黒点病にも効果があるように受け取れる。これまで年間30回程度薬剤散布してきたものが、20回で済んでいるから省力化に繋がっている。