ばら遊び 2024.6月
2024.6.22
オオタバコガ 異常発生 !!
オオタバコガと言えば秋花が被害を受けるものと思っていましたが、群馬県の発表によると、調査した6地点全地点で、平年より早い時期から増加し、平年に比べて多くなっている――という心配な状況が発表されています。5月の時点で、すでに昨年の8月の状況に達しているということです。少雪と気温が高いことが背景にあるものと思います。
悔しいことに我が家でも受粉を終えて膨らみ始めた果実に穴があき始め、のうのうと実をあさっている幼虫が見られます。皆さんのお庭ではいかがでしょうか。昨年の秋もそうでしたが、週1回の薬剤散布では防除しきれないと思います。私はハンドスプレーを持って庭をパトロールしています。蕾や花はまだしも、果実だけは絶対に許せません!鬼になります。
果実は33個ありましたが、写真のようにすでに腐敗しているのが3個、さらに穴あきが2個ですから、暗雲が立ち込めてしまいました。
先週、ガーデンプリンスが枯れました。掘って根を調べましたが、白根がまったく生えておらず、この暑さで寿命が尽きてしまいました。人間で言えば老衰のような最後に思えました。白根が出なかった理由はわかりません。
2020年に切り接ぎ苗で購入し、活躍できないまま終わりました。2021年の秋に一度だけ見せてくれた本来の姿――忘れません。もう、苗はどこからも購入できないでしょうね。残念です。
今週の水曜日、下北半島に50年ぶりでドライブに行ってきました。走行距離679km。下北半島はマサカリの形によく例えられますが、マサカリの刃の部分に位置する佐井村を目指して朝4時過ぎに出発しました。津軽半島の蟹田港から出るフェリーに乗るためです。これで楽ちんに下北に入れます。
50年前は未舗装の国道(海峡ライン)の砂埃と道幅の狭さに泣かされました。舗装されて拡幅こそされましたが、やはり仏ケ浦までの道は緊張の連続でした。クマ出没注意の看板を横目で見ながら、標高差120mの海岸線に徒歩で下りていきます。緑色凝灰岩でできた林立する仏様?が出迎えてくれます。海の向こうに見える水色の島影は北海道です。50年前と何も変わらない秘境がありました。
佐井村の民宿でごちそうをタラフクいただいた翌朝の散歩で、すごいお宅を発見しました。海の見下ろせる高台に建つ瀟洒なお宅のバラが満開だったのです。
右にアンジェラのピンク、中央にピエールの白ピンク、左にオレンジ黄色のサハラ98の壁面仕立て。その前には山盛りの鉢が並んで洋風住宅を飾ります。ここは佐井村ですよ(佐井村1700人の住民の皆さま,暴言をお許しください)! 潮風に耐えた板塀が並ぶ町にですよ! バラって、こんなにすごい魔法をかけてくれるんですね!!
ちょうど奥様が鉢に水遣りをされておられましたので、早朝からバラ談義に花を咲かせてしまいました。カメラはもちろん、スマホすら持っていなかったものですから画像に残すことができなかったことを悔やんでいます。
ガーデンプリンスのあの本来の姿も、佐井村のあのバラの姿も幻だったのでしょうか。。。はかなく消えてしまうものに強く惹かれます。
2024.6.14
2年目の花は劇的に変わる!?
春のバラ展も終わり、一番花はほぼ終了です。ブラインドのせいで咲き遅れた一番花や、実生苗の2年生と1年生がこれから咲きます。これが楽しみなんです。
育種の話は皆さんはほとんど興味がないようですね。私が知っている限りでは、お一人が育種に挑戦しているようですが、発芽しなかったと悔やんでおられました。ご自分のやり方が確立するまでどうぞ頑張ってください。あと少しだと思います。
ところで皆さん、今年購入したバラの花は来年も同じ花が咲きますよね。ところが実生苗の1年目(初花)と2年目の花が劇的に変わることが我が家ではよくあるんです。花の色、形、弁数が変化します。不思議ですよね。
遺伝子は変化していないはずですが、その遺伝子をはたらかせる環境、酵素やタンパク質の量や質が完成していない、つまり、体が出来上がっていないからだと思います。
あまり変化しない花からご覧ください。写真は2枚ずつ並べますが、1枚目が1年目の初花、2枚目が2年目の花になります。
今月の上旬から約2週間にわたって人工授粉(32花)をしてきました。今年は天候に恵まれて花が一斉に開いてくれましたので、特に香りを重視した交配を集中して行うことができました。HTもFも満足しています。昨年の着果率はHTが47%、Fが55%、平均で51.4%でしたので、16~17個の果実ができるだろうと予想しています。とても楽しみです。
2024.6.2
春のバラ展まであと6日
アイキャッチ画像は4年前に生まれ、カーポートで育ったフロリバンダです。来年、長岡で試作していただく予定で苗を準備中です。花が大きくて、香りも強いです。皆さんから愛される花をめざして挑戦したいと思います。
春のバラ展、困りましたねー。庭の花が咲きすぎてます。街に住んでおられる会員の皆さんはきっとハラハラしておられるのでは。
そしてこの雨。涙雨ですね。明後日まで傘マークがついていますから、火~木曜日に開花し採花できる花が出品できるでしょうか?
つらいところですねー。
筆者は交配を進めていますがこの雨で水曜日まで中断します。今日の午前中も交配しましたが、この雨でダメでしょう、きっと。
雨ですっかり意気消沈していたのですが、午後3時頃、待望の苗が届き、元気が復活しました。喜怒哀楽のわかりやすい単純なバラ爺です。
今回の岐阜旅行後、軽く考えていた耐病性を本気になって初めからやり直そうと思っています。所属するバラ会のバラばかりを集めて種馬バラ(種バラ)にしていましたから、花形にばかり気を取られ、耐病性に対してあまりにも無頓着でした。
ヨーロッパのバラを販売する日本のナーセリーを調べ、ネットでまず新苗4本(HT2本、F2本)を注文しました。小遣いを超える金額ですから妻の了解も取りました(笑)。残っている自身の寿命で、どれだけ耐病性のあるバラを作れるのかわかりませんが、ゴーサインがでましたので、やれるだけやってみようと思います。耐病性のあるもの同士の交配で期待するバラができると単純にバラ爺は考えています。果たしてそれでよいのか、選抜が必要になるのか、深みにはまりそうな予感もします。
今、新種の実生苗(2年生)も咲き始めています。この中でびっくりするような大きさのHTが咲きましたのでご覧ください。2年目ですが、花径が15㎝ありました。こんな経験、初めてです。花弁数がもう少し増えてくれたら面白いのですが。
他にこんな花(フロリバンダ)も咲いています。
今年の実生苗(新種・台木用)をセルからポットに上げました。発芽率は新種が17%、台木用も同じく17%でした。新種は想定内ですが台木用(ノイバラ)の低さにびっくりです。ただ、来年から数年は岐阜には出品しないつもりですから、この程度の台木数(25本)でよいと今は思っています。
それにしても、1か月でほぼ100%発芽していたノイバラが昨年から極端に下がった原因は何かを考えたいと思います。会員の皆さんの情報がありましたらコメント欄でアドバイスをお願いします。
今朝は今年初のカミキリムシを発見して静かな時間にご近所さんまで声が聞こえてしまったかもですが、よりパトロールを強化しなくてはなりません。3枚のお写真と短編小説のような文章から、下北半島の自然の厳しさと美しさが伝わってきました。佐井村の独特な環境で見事に育っている様子はバラ驚異と愛情の賜物ですね。
ak-hiroyukiさまのおっしゃる通りだと思います。佐井村は園芸用のバラを栽培するには過酷な場所に違いありません。水遣りをされていた奥様がどんな気持ちでバラの花園をつくっておられるのか、本当に愛情の賜物なんですよね。栽培者の愛情とそれに応えるバラの驚異的な強さだと思います。
海岸線には大きな樹木はなく,原野のような藪がたくさんありました。その藪にはノバラの白い花が満開で,そして,ハマナスが咲いていました。
過酷な環境であっても園芸種の原種になったノバラやハマナスは自生できるのです。北海道の原野にもハマナスはたくさん咲いています。確かハマナスが"道花"になっていたはずです。
私たちは園芸種は弱いと決めつけてしまっていますが,どこでも生きていけるしなやかさは失っていないのかもしれませんね。